2013年11月13日

ぽかん3号、デザインのこと。

なんだか気がつけば、冬到来といった感じです。
朝に飲む珈琲が美味しい季節ですね。

「ぽかん」3号を少しずつ、書店や古本屋に置いていただいています。
いつものことですが、作りおわってちゃんとした形になると、愛着がわかなくなるのは不思議なことです。飽きっぽいのでしょうね。

さて、3号のデザインのことについてです。
今号も2号までと同様、西田優子さんにお願いしました。本をつくること、だけではなくて、なにかつくったり仕事をする上で、「勘のよさ」というのは大切だなとおもいます。すべて言葉にせずとも、ピンとわかってくれることがいかに物事をスムーズに運ぶか。そして、ピンとくるポイントが近いことも重要です。

今号、「正方形・縦書き」にするというのは最初から決めていましたが、4色刷りにするか、2色刷りにするか、スミ1色にするかは、実際に原稿が集まってから決めました。

本誌の本文組は、書体、大きさ、行送りを何パターンも作ってくれ、より読みやすいものに辿り着きました。気持ち大きめの文字サイズです。

本誌の黒と青の2色刷りがいい、と褒めてくださる方が多いのは嬉しいです。「ブルーデュルコアーズ」という色だそうです。
2色刷りにしようと決めてから、実際にこの青色を選んだのは西田さんです。当初、ゲラはレンガ色と黒の2色で送られてきていて、わたしは「この色、変えてほしい」というタイミングを逃していました。

だけど、原稿が集まって、とくに澤村さんと中野さんの原稿を並んで配置するころには、自然と青色に変わっていました。わたしが何も言わずとも。
「鉛青色」、「青い睡り」、「セルリアンブルー」。
象徴的なことば、だけではなく、2人の原稿には青が溢れていて、本誌は青と黒の2色がいいだろうなあと曖昧なことを考えたら、あたりまえのように、ある日突然、青と黒になっていたわけです。いやー、仕事できますね。ほんと。

澤村さんの写真も、当初は2枚の写真を1ページずつスミ1色で配置していたんですが、それが気に入らず、見開きで1枚の写真をばーんと配置してくれませんか?とお願いしたところ、ばーんと配置するには画質が足りないと言われ、しょぼんとしたのですが、ブルーに加工された写真がばーんと配置されてました、自然に。手品師か。という具合。

ページの空いたところには当初、イラストを配置していましたが、急遽、ウメクサとして「シネマのある風景」をいれよう、となり、迷惑をかけました。(書き手にもデザイナーにも)だけど、いま、ページを捲ると、ウメクサの青色が、またページのアクセントとなって、効果抜群なわけで、わたしの思いつきってば冴えてるな、というか、この青色使った西田さん、さすがだなとおもうわけです。

ノンブルの位置も、ちょっとおかしいなあ、と読者のみなさんはおもったかもしれません。
入稿したときに印刷会社のひとに、「あのー、ノンブルの位置がへんなんですけど」と言われたように、普通はページの隅に配置するもんですよね。
ただ、この中央寄せも意識的です。これがよかったんです。で、もうすこし小さかったのですが、「もうすこし大きくして」と言おう言おうとしてたら、最後、勝手に大きくなっていました。いや、人の心が読めるのでしょうか、西田さん。

と、まあ、まとまりのない文章になりましたが、本作りにおいて、いかに勘の冴えたデザイナーは必要不可欠か、ということが主題でした。
そして、わたしはとても幸運だったわけです。